照明が水面でゆらゆらしてて、息をする音まで響く。 その空気の中で、澪はゆっくり髪をかき上げた。 水滴が頬をすべって、ぽとん…と胸の前に落ちる。 その「しと…」って音だけで、何かが目を覚ました気がした。 誰もいないのに、誰かの視線を感じるようなあの感じ。 あれはたぶん、記憶に染みつく温度やった。
その視線、まるで水みたいやった。
見られてるって気づいた瞬間、心臓がドクンと跳ねた。 止めようとしても、鼓動が勝手に早くなる。 「じんわり」と肌が熱を帯びて、冷たい水と混ざるような不思議な感覚。 すぐそばにいるのに、届かない距離。 そのもどかしさが、いちばんやばかった。 触れたら壊れそうで、でも触れずにいるほうがつらい。 たぶん、これが“禁断”ってやつなんやろな。
光と影の間で、時間がとけていった。
プールの底に沈む光の粒が、二人を包みこんでた。 息を合わせるたびに、音が「すーっ」と重なる。 焦らすような間。 沈黙の中に、何かが溶けていく。 指先から伝わる温度が、胸の奥まで伝わってくる。 もう、逃げられへん。 そう思った瞬間、澪のまなざしがまっすぐ刺さってきた。 あの一瞬で、世界の音が消えた。
終わったあとも、鼓動が鳴りやまなかった。
画面を閉じても、まだ呼吸が浅い。 冷たい風が頬を撫でても、内側は熱いまま。 心臓が「とくん、とくん」と言葉みたいに鳴ってる。 たぶん、これは恋でも快楽でもなくて、 “感情が裸になる瞬間”なんやと思う。 澪が見せたあの目、今もまぶたの裏で光ってる。 もう一度だけ、あの世界に沈みたくなるんや。

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